備忘録

映画、本などの感想を私的な覚え書きとしてまとめておくためのブログ

『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』

シネマシティの特別上映で鑑賞。ガイ・リッチーの初監督作品&ジェイソン・ステイサムの俳優デビュー作という記念碑的な作品。

本作で一躍名を成したイギリスの俊英、ガイ・リッチー監督・脚本によるクライム・ムービー。一攫千金を狙う4人の若者を軸に、ギャングやマフィアが入り交じって繰り広げる群像劇を独特のユーモアを交えて描く。巧妙なストーリー展開やテンポある演出に加え、多彩な登場人物が見せる妙な味わいが秀逸。ロンドンの下町に生きるエディはある日、仲間3人から金を集め、ギャンブルに投資するが惨敗。逆にその元締めに多額の借金を背負ってしまう。返済猶予は一週間。途方に暮れるエディたちだったが、彼らは偶然隣人の強盗計画を耳にする。

自分たちの実行した計画が独り歩きして事態が複雑化していったものの気がついたら丸く収まってました、みたいな展開は皮肉が効いてて大変おもしろかった。

編集の鮮やかさとかテンポの良さとかは『スナッチ』に劣る気がするが。

『ミッション・インポッシブル フォールアウト』

『ミッション・インポッシブル』シリーズの6作目。監督は前作『ローグ・ネイション』に引き続いてクリストファー・マッカリーがつとめ(シリーズ史上初の続投)、前作とリンクしたストーリーになっている。

盗まれたプルトニウムを用いて、三つの都市を標的にした同時核爆発の計画が進められていることが判明する。核爆発阻止のミッションを下されたイーサン・ハント(トム・クルーズ)率いるIMFチームは、犯人の手掛かりが名前だけという困難を強いられる。タイムリミットが刻一刻と迫る中、イーサンの行動に不信感を抱くCIAが放った敏腕エージェントのウォーカー(ヘンリー・カヴィル)が現れる。

出典:Yahoo!映画

 本作の最大の見所は、やはり回を追うごとにエスカレートしていくトム・クルーズの体を張ったアクションシーン。シリーズ中もっともアクション要素を全面に押し出した作風になっていた。56歳にしてここまでダイナミックな演技ができる俳優は他にいないと思う。作中のイーサン・ハントに対して思う「こんなことやっててよく死なないよなあ…」と驚嘆する気持ちが、そのまま彼を演じる現実のトム・クルーズにも当てはまるという稀有な作品である。

特にハントがトラックやバイクに乗ってパリの町並みを駆け巡るシーンや、ウォーカーを追ってビルの屋上などを全力疾走するシーンが印象的。また終盤のヘリコプターのシーンは、トム自らが訓練を積み操縦までこなしているというからすごい。メイキングにはその一部始終が収められている。


MISSION IMPOSSIBLE 6 Fallout BEHIND THE SCENES Movie B-Roll & Bloopers

とにかくアクションを重視したためか、ストーリーの方は若干行き当たりばったりな印象を受けた。敵との追いつ追われつによる緊迫したシーンの最中に、「これからどうするの?」「考える!」みたいな会話を何度か目にしたような気が。しかし鑑賞中はそんなことがさして気にならないくらい破壊力のあるシーンの連続だった。また、そうはいいながらも、ハント率いるIMFのメンバーが協力してハッタリをかまし、敵を陥れる展開が2、3回用意されていたのは痛快だった。これは前作とも共通する要素。

というわけで、ストーリーは前作に劣るものの、トム・クルーズがこだわり抜いたアクション・シーンを心ゆくまで楽しめる快作に仕上がっており、今夏必見の映画といってもいいと思う。

 

『ウインド・リバー』

『ボーダー・ライン』のテイラー・シェリダンによる初監督作品。

アメリカ、ワイオミング州先住民族が住む深い雪に囲まれたウインド・リバーで、地元のベテランハンターであるコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)が女性の遺体を発見する。FBIの新人捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)が派遣され、1人で捜査を開始するが雪山の厳しい自然環境や不安定な気候で難航する。ジェーンは、ウインド・リバー一帯に詳しいランバートの手を借りて調べを進めていく。

出典:Yahoo!映画

 本作ではワイオミング州ウィンドリバー保留地という地域の特殊性がモチーフにとられている。そこでは、過酷な自然環境、警察組織の未整備*1、インディアンへの差別・迫害の歴史的経緯などが、様々な社会問題を生み出しているらしい。

そういうわけで、思っていたより骨太なテーマの社会派サスペンスだった。主演のジェレミー・レナーは凄腕のハンター役であるものの、どこか落ち着いた(地味な?)雰囲気をもつ俳優のため、なるほどこういうテーマの映画には適役だなと思った。

全体的に静かな作風ながら、突如繰り広げられる銃撃戦などが、緊張と緩和のコントラストを生み出しており、良い演出だった。

また法が機能しない土地での自警団によるならず者の成敗、というストーリー展開は西部劇を思わせる(ワイオミング州といえば、『シェーン』の舞台としても有名)。また、そのような土地・環境において善悪の区別が揺らぐ様子を観客に突きつけるという作風は、『ボーダー・ライン』とも共通していると感じた。

上記の事情からやや説教臭さを感じるシーンもあったが、鑑賞後に深い余韻を残す良作だったと思う。監督の次回作にも期待したい。

*1:町山智浩氏の解説によれば、鹿児島県と同程度の広さにたった6人の警察官しかいなかったらしい(オバマ政権時に36人に増員)。しかも州警察の管轄が及ばない地域のため、レイプ犯を裁くことができないとか。